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沖縄には1年に3回お正月がやってくる

正月

沖縄では、今でも伝統的な行事は旧暦を大事にします。さらに「この世もあの世も大事にする」という考え方があるので、お正月は1年に3回もあります。今回は沖縄の3つのお正月を紹介します。

沖縄では「伝統行事に旧暦を重んじる」というのが常識ですが、お正月に関しては新暦の1月1日をお正月とするのが一般的です。

12月31日には大晦日を迎え、沖縄流の「年越しそば」を食べながら新年を迎えます。

ただ沖縄の年越しそばは「蕎麦」ではなく「そば」です。つまり「年越し蕎麦」ではないのです。

もともと沖縄では蕎麦粉を使ったものを「そば」とは言わず、小麦粉を使った沖縄そばを「そば」と言っています。ですから年越しそばで使う麺ももちろん「沖縄そば」です。そのため「年越し蕎麦」ではなく「年越しそば」なのです。

さらに沖縄では正月にお雑煮を食べません。その代り沖縄の伝統料理である「中身汁」を食べます。(※地域や家庭によってはイナムドゥチやソーキ汁の場合もあります)

中身汁は豚の内臓を丁寧にした処理して作った汁椀のことで、琉球王朝時代の祝いの席の宮廷料理としても食べられていました。ですから今でも沖縄ではお正月のような祝いの席では中身汁をふるまうのが一般的です。

中身汁はとてもシンプルな料理なのですが、とにかく手間がかかります。豚の内臓を適当な大きさにカットしてから、小麦粉を使って洗い下茹でをします。この作業をゆで汁が透明になるまで何度も繰り返します。こうすることによって豚の臭みがとれ、シンプルながら上品な中身汁が出来上がるのです。

ただこれだけの作業をしなければいけないので、中身汁を食べることが出来るのは一年のうちでも数回だけ。そのうちの一つがお正月なので、中身汁を食べるのを楽しみに県外から帰省する県出身者もたくさんいます。

旧暦のお正月を「お正月」として考える地域は、今ではとても限られています。沖縄本島内でいえば、「うみんちゅの街(漁師の街)」といわれている糸満地域に限られています。

旧正月を「お正月」としてお祝いする地域は少なくなっても、古くから地域で引き継がれてきた正月の伝統行事については今も旧暦の「旧正月」で行う地域が多いです。そのため地域の伝統行事が行われると、新暦でお正月をお祝いする沖縄県民も「今日は旧正月か」と思うのです。

ただし観光客相手のサービス業では、旧正月は別の意味で稼ぎ時なので新正月なみに忙しくなります。

沖縄は国内だけでなく国外からの観光客も多く訪れます。中でも中国からの観光客は年々増加しています。そして中国では旧正月の時期が「春節」に当たります。

春節は超大型連休なので、この時期になると中国からの観光客が大量に沖縄を訪れます。そのため旧正月の時期には、沖縄の観光名所でショッピングスポットでもある国際通りでは、大きなショッピングバッグを両手いっぱいに抱える中国人観光客の姿を数多く見かけます。

国際通りのすぐ近くに住んでいる私は、毎年この光景を見るようになると「旧正月が近いんだな」と思います。そして国際通り周辺の土産物品店などで働く友人たちは、この時期になると「とにかく忙しいからまた今度!」といって遊んでくれなくなります。

あの世のご先祖様に対する祈りを毎日の生活の中でも大事にする沖縄には、この世のお正月とは別に「あの世のお正月」もあります。それが「十六日祭(ジュウルクニチー)」です。

十六日祭は、旧暦の1月16日に行います。なぜ旧正月が終わった後に行うかというと、「お正月の神様がいる時期を避けるため」です。

ご先祖様は「あの世」の住人です。そしてそのご先祖様が眠っているのがお墓です。

お正月の神様はご先祖神様とは違い、穢れを嫌う神聖な神様です。そのため「ご先祖様がいらっしゃるお墓参りをするのはお正月の神様が去ってから」とするようになったのが理由にあるといいます。

さらに沖縄の十六日祭は「ご先祖様への行事」ということもあって、「あの世の正月」という以外にもう一つの意味があります。

一般的に喪中(身内が亡くなってから1年未満であること)の場合、喪が明けるまでは正月を祝いませんよね?でも十六日祭は「あの世の正月」ですから、喪中の家族はこの日に重箱料理をもって墓参りをします。これを「ミージュウールクニチ(またはミーサ)」といいます。

もちろん喪中ですので、新正月にお正月料理や正月飾りなどをすることはありません。その代りミージュールクニチには親族一同が集まり、お供え物をもって墓参りをします。

ミージュールクニチをするのはあくまでも喪中の場合のみに限られるので、一般的な十六日祭とは違います。

ただ亡くなった後もあの世の家族とのつながりを大事にする沖縄ならではの考え方は、「供養」という言葉の意味を考えるヒントになる気がします。